あけましておめでとうございます。

 2003年の新しき年をお健やかにお迎えになられましたこととお喜び申し上げます。

 年が改められても、国際的にはイラクや北朝鮮などを巡る緊迫した情勢が続き、国内的にも相変わらずの景気低迷に失業率も高水準のまま推移しており、この長いトンネルの出口が見えない状況です。

 さらに、日本ハムの不正を始めとして産地を偽った表示をした販売や無認可農薬問題など、食に関する不信が高まった年でもありました。

 これも、長期経済低迷と過激な競争による歪が生んだ社会現象でしょうか?
 数年前の元旦の新聞に”アレグロからアンダンテへ”という社説がありましたが、世界は今、競争の激化により少しでも早く
、少しでも他より安く、効率第一主義が優先して、心のゆとりに欠けた世界になっています。

 今、政治家にも企業家にもさらに教育者をはじめ全ての人に必要なのは心のゆとりと包容力ではないでしょ

うか。

 ”心のゆとり”にとって大切なのは”食”であり”食生活”ではないかと、最近私なりに考えています。

 世界に静かに広がっている言葉に「スローライフ」、「スローフード」、「スロー・イズビューティフル」があります。
 いずれも「ファースト」への反対語でではありますが、単に早いに対抗して”遅い”ではなくいずれも 「ゆとり」を表現しています。

 とは言え、現実の社会でスローを実践するのは容易ではありませんが、とりあえずは、私のライフサイクルとなってきているそば打ちを通じた活動をしていきたいと思っております。

 日本の伝統食文化であり、一粒の種から育てて収穫し、製粉、手打ちなど全て手間のかかる現代で言えば”非効率”の代表みたいなものですが、一粒一粒の粉に水を回し、捏ね、延し、切り、茹でと心を込めて作られた”そば”を丹精込めた麺汁で食する味は、どんな有名そば店でも味わうことができなないでしょう。

 この喜びを多くの方々に味わっていただこうと、昨年も所属の「分桜流・彩国蕎麦蘊蓄の会」の行事を通して会員とともに児童養護施設や老人保健施設などの福祉施設への出張そば打ち訪問をはじめ、日本そば博覧会への出店など活発なそば打ち活動を実践することができました。

 今年も、多くのそば打ち仲間とともに”そばをこよなく愛し そばを通じて人の輪(和)を広げる”ことを実践するため、福祉施設でのそば打ちボランティアをはじめ、研究旅行や全国のそば打ち家や団体との交流を深めていきたいと思っております。

 そば打ち技術は未だ発展途上であり、もっと美味しいそばが打てるよう修行と研究を続けて参りたいと思っておりますので、引き続きご指導いただきますようお願い申し上げます。

 平成15年1月1日

蕎麦処 成水

阿 部 成 水

分桜流・彩国蕎麦蘊蓄の会 会員

ニッポン東京スローフード協会 会員

全国麺類文化地域間交流推進協議会認定
素人蕎麦打ち段位 3段

E=mail:abe@silver.ocn.ne.jp
seisui@jcom.home.ne.jp
分桜流ホームページ http://
www1.ocn.ne.jp/~untiku/

 昨年は、蕎麦の食べ歩きの機会が極端に少なかったので、今年は数多くの店を訪ねてそば料理の研究も深めていきたいと思います。

 もちろん、未熟な技術向上のための精進も重ねます。

(自宅の蕎麦工房にて)

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