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あけましておめでとうございます。

  2005年の新しき年を皆様お揃いでお健やかにお迎えになられたこととお喜び申し上げます。

  昨年を振り返ってみますと、国際情勢は依然としてイラク戦争後の混乱から抜け出せず、中東も不安 定な状況が続いておりますが、国内的には”自然災害の年”と言ってもよいかもしれません。

  7月半ばに福井と新潟を襲った集中豪雨に始まり、過去最高の上陸回数10回となった台風 の襲来、 そ して、10月下旬に発生した新潟中越地震は、未だに余震が続き、被災者は被災者住宅で不安な毎日を送っており、多くのお年寄りは、つい数ヶ月前まで、まさか、この正月を長年住み慣れた住宅ではなく被災者住宅で迎えようとは夢にも思っておられなかったのではないかと推察され、胸が痛む思いです。
  そして、年末のスマトラ沖大津波は日本人をはじめ多くの国の人々が犠牲となり、未だに正確な犠牲者数が把握できない状況であり、大自然の猛威は世界を震撼させました。
  あらためて、大自然の前に無力な人類の姿を見せ付けられ、これは、地球の支配者として我が物顔をして自然を甘く見ている人間に対する警鐘とも取れそうな気がしています。

  また、台風の上陸回数が多かったのは、台風の発生数が多かったのかと思われがちですが、発生数は例年並み26個で、日本への打率が高かったということのようです。
  例年上陸回数が最も多い中国大陸(6.4個)が4個と少なく、フィリピンや台湾も例年より少なくなっているそうです。
  これは、経済はともかく政治面で中国と軋轢があることも原因としていると見るのはいささか飛躍でしょうか?
  台風の被害の中でも18号は、日本一の作付け面積を誇る幌加内町を直撃し、収穫が8割減という悲惨な状況で、今シーズンのそばの価格に大きな影響を与えており、私達そば打ち愛好者にとっても大きな痛手となっています。

  一方、社会面では依然として幼児虐待が後を絶たず、あどけない命が心無い大人たちの犠牲になっております。
  私が所属する「さいたま蕎麦打ち倶楽部」が7年前から毎年クリスマス訪問している児童養護施設「上里学園」は、7年前に定員が80人だったのが、毎年のように増員し、昨年末に訪問したときは130人で6割り増しになっていました。
  そのほとんどが、幼児虐待や養育拒否などによって引き取られた子供達です。
  この施設は、戦後の戦争孤児を育てる施設として発足し、その後、両親の病死や交通遺児などが入所していましたが、最近は前述のような児童が占めております。
 不幸にも入所した児童には暖かい愛情で育ってもらいたいとの願いからら、美味しいそばを食べて元気をつけてくれればと会員一同毎年欠かさず訪問しています。

  なにやら、新年早々明るくない話題から始まり恐縮ですが、明るい話題としては、アテネオリンピックでの日本選手の活躍でしょう。
  水泳・柔道・体操など史上最多のメダル獲得は猛暑の日本中を沸かせました。
 
一昔前のように”日の丸を背負って”という悲壮感漂う意識でなく、仲間のため、自分のためにと明るく屈託のない若者の活躍が特に印象的でした。

  さらに、私の家族がJリーグ発足以来負けても負けてもサポーターとして応援している浦和レッズが後期優勝したことです。
  今年こそ年間指定席を確保しておいて良かったと感じたことはありません。駒場であるいは埼玉スタジアムで妻と二人、何度歓喜のフラッグを振ったことでしょう。
  残念ながらチャンピオンシップに負け、カップ戦も決勝で破れ、天皇杯も準決勝で敗れはしましたが、来期は年間王者を目指して応援に行きたいと思います。

  さて、この年頭のごあいさつも2002年から4回目となりますが、2003年、2004年と続けて、現代はより早く、より安く、より効率的にと過度の競争がいびつな社会を形成し、社会全体が常に落ち着きのない状況になってきている中、ゆとりのある生活”スローライフ”を提唱してきました。

  私は、この”スローライフ”を自ら実践するため、定年には少し早いのですが、昨年3月末で長年勤めた埼玉県を思い切って退職をしました。
  以後、所属する「さいたま蕎麦打ち倶楽部」での活動を中心に、手打ちそばの技術研究をしながら、民間カルチャーセンターのそば打ち教室の講師をしたりで、毎日、そばに関する活動に明け暮れております。


  7月には、カナダ・バンクーバーで息子の現地の友人にそば打ちを披露、9月の幌加内そばまつりそば打ちお手伝い、10月の松本での日本そば博覧会で「ふるさと寒河江そば工房」のそば打ちお手伝い、11月の今市そばまつり出店、さいたま市中央区区民まつり出店などまつり三昧でした。

  また、9月下旬には念願の北海道を妻と愛車で巡る旅を実現し、小樽から稚内・利尻島、旭川、遠軽、北見、知床を回り苫小牧まで楽しい1200kでした。
  特に、遠軽の路庵岸本さんから、手挽き石臼についてご教授いただき、北見のそば打ち名人山本夢玄さんに知床方面をご案内いただくなど思いで多い旅でした。

  手挽きはまだ始めたばかりですが、玄そばの落とし方、臼の回し方で同じ玄そばが七変化するのには驚かされ、そばを打つ技術だけでなく粉一つとっても奥行きが深く、改めて手打ちの技術を含めてそばに対する無知・未熟さを思い知らされたところです。

  今年は、手打ちそば技術の向上と併せて路庵岸本さんの指導を受けながら手挽き粉の研鑽に励みたいと思っておりますので、引き続き皆様のご指導をお願い申し上げます。

  終わりに、今年も皆様がご健康で全てに実り多い年となりますことをお祈り申し上げ、新年のごあいさつとさせていただきます。


   2005年1月1日

 

手打ちそばを通じて人の輪(和)を広げる

手打ちそば人 阿 部 成 水

URL:http://members3.jcom.home.ne.jp/seisui2/

E-mail;seisui@jcom.home.ne.jp

さいたま蕎麦打ち倶楽部 幹事長

URL:http://members.jcom.home.ne.jp/sobauchi/

ニッポン東京スローフード協会 会員

 

バンクーバーでのそば打ち

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